形成外科
概要
形成外科は、手術などの専門的治療によって身体の形態と機能を改善する診療科です。
体表のできもの、やけどや顔の骨折、けがや手術などで生じた欠損やきずあと、生まれつきある変形やあざなどが診療対象となります。
ページ下部にて当院で行っている治療をご紹介します。
医師紹介
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当院で行っている治療について
腫瘍(できもの)
皮膚、皮下腫瘍
全身の皮膚・皮下のできものを治療します。特に顔面や手足など、整容的・機能的な配慮を要する部位は形成外科で専門的治療を行います。
皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)
皮膚がんは一般的に切除が治療の基本となりますが、安全域を含めて大きく切除することが多く、術後の皮膚欠損や変形が問題となります。形成外科では、植皮術や局所皮弁術、遊離組織移植術などを駆使してこれらに対応します。
抗癌剤や放射線治療など、集学的治療が必要な場合は他施設にご紹介させていただく場合があります。
眼瞼(まぶた)
眼瞼下垂症
生まれつき、または加齢とともにまぶたが下がる例や、ほかの病気に伴って症状があらわれる例があります。手術適応となる症例には、眼瞼挙筋前転術や上眼瞼皮膚切除術などを行い、視野障害の改善をはかります。
睫毛内反症(逆まつげ)
まつげが眼球を刺激して痛みや充血、流涙や眼脂(めやに)などの症状がでます。中には視力に影響が出るものもあり、手術の適応となります。
眼瞼外反症
加齢や外傷、あるいは後述する顔面神経麻痺などによって、下まぶたが「あっかんべー」の状態になったものです。手術を行うことによって、見た目とともに、眼の乾燥、痛み、流涙などの症状を緩和することができます。
眼瞼けいれん
まぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)が過剰に収縮を繰り返している状態です。患者さんは、まぶたの不快感、羞明(まぶしさ)、運転中の見えにくさなどを訴えられます。原因がはっきりしないものが多いですが、対症療法としてボトックスの注射を行います。
瘢痕(きずあと)
瘢痕拘縮(ひきつれ)
きずあとのひきつれによって関節の動きが制限されたり、整容的な問題を生じている症例に対し、局所皮弁術、植皮術、ティッシューエキスパンダー(組織拡張器)などを用いて拘縮の解除を行います。
ケロイド・肥厚性瘢痕
ケロイドは、もとのきずの範囲を超えて拡大していくきずあとで、完治させることが難しい病態です。一方、肥厚性瘢痕はもとのきずを大きく超えることはありませんが、長期間にわたって痛みやかゆみを伴い、赤く盛り上がった外観も患者さんを悩ませます。
ケロイドと肥厚性瘢痕の区別は専門医でも難しい場合がありますが、形成外科ではそれぞれに適した治療を行います。
がんの手術や外傷に伴う再建手術
乳房再建(乳がん術後)
日本での乳がん患者さんの数は増加の一途をたどっています。乳がん手術によって失われた乳房を再建するのも形成外科の仕事です。手術方法によって大きく2つに分類されます。
1.自家組織再建
患者さん自身のお腹の脂肪や背中の筋肉などを用いて再建する方法です。手術時間が長く、組織採取部の犠牲も伴いますが、後述のインプラントに比べると暖かくてより自然な質感の乳房を再建することが可能です。また、患者さんの組織で再建するため、生着後は異物反応などの心配がなく生涯にわたり安定します。
2.人工物再建
シリコンインプラントを用いて再建する方法です。まずティッシュエキスパンダー(組織拡張器)で胸部の皮膚を伸ばしてから、数ヶ月後にインプラントに入れ替えます。自家組織再建と比べると、質感や耐久性の面でやや劣る部分がありますが、手術時間が短く、乳房以外の部位に犠牲を伴いません。日本では、2013年より保険適用となりました。
いずれの方法も、乳がん切除の手術と同時に再建する場合(1次再建)と、後日再建する場合(2次再建)があります。
当科では、当院および佐藤病院の乳腺外科と協力体制のもと、乳房再建を行います。また、過去に乳がん手術が行われた患者さんの2次再建にも対応いたしますので、ご相談ください。
その他の再建
頭頚部がんや体幹・四肢の手術後の組織欠損、腹壁瘢痕ヘルニアなども形成外科で再建します。
顔面神経麻痺
原因不明のもの、ウイルス感染や手術・外傷によって生じるものがあります。表情筋(顔の筋肉)の動きが障害されるため、瞼を閉じられず眼が乾いたり、唇が垂れ下がって飲物が口からこぼれたりします。また、外観的にも患者さんの大きな負担となります。手術療法には、筋膜などを用いて垂れ下がった唇や瞼をつり上げて顔貌のバランスをはかる方法(静的再建)と、神経や筋肉の移植を行って顔の動きを再現する方法(動的再建)があります。
外傷
熱傷(やけど)
形成外科では、受傷直後のやけどを早くきれいに治すための適切な治療を行います。さらに、やけど後のきずあと治療も専門としています。
やけどは受傷後できるだけ早く冷やすことが最も重要です!日本熱傷学会のホームページhttp://www.jsbi-burn.org/もご覧ください。
顔面骨折・顔面軟部組織損傷
転倒・転落、スポーツ中の衝突や交通事故による顔のけがも形成外科が専門的に治療します。切り傷や擦り傷はもちろん、顔面骨の骨折も当科で手術を行います。
切断指
仕事中のけがや交通事故などで指を切断した場合、骨や腱だけでなく、細い血管や神経の修復が必要となります。形成外科では、顕微鏡下手術によってこれらを再建し、切断指再接着術を行います。
先天異常
唇顎口蓋裂
多くの症例で、手術のみならず、言語訓練、歯科矯正など多角的治療が必要となります。また、治療経過を長期(数年~十数年)に渡ってフォローアップしていかなければなりません。このような治療体制の整った施設(京都大学医学部附属病院など)にご紹介させていただきます。
多合指(趾)症
生まれつき手足のゆびの数が多い多指(趾)症、ゆびのまたが癒合している合指(趾)症に対して、整容と機能に配慮した手術を行います。
耳介変形
副耳(耳の前にある小さな突起病変)、埋没耳(耳の上半分が側頭部の皮膚に埋もれているもの)、小耳症(耳の軟骨および皮膚形成が不十分なもの)などがあります。外観だけでなく、眼鏡やマスクをかけられないといった機能的な問題を解消するために治療を行います。
埋没耳や軽い耳介変形の中には、手術せずに改善できるものがあります。耳の軟骨が柔らかい生後早期に矯正治療を始めることが大切です。気になることがあれば早めに受診してください。
美容
シミ、そばかす
QスイッチYAGレーザー照射や内服治療を行います。これらの治療は自費診療となります。「レーザー治療(シミ取り等)」のご案内はこちらをご覧ください。