vol.8
放射線治療と仕事の両立
放射線治療と仕事の両立
先日、新たに放射線治療を始められる患者さんとお話していましたら、「周りの人たちが心配してお仕事を休むように勧めてくれるのですが、私は仕事を続けたいのです。どうでしょうか」との質問を頂戴しました。
「放射線治療を受けたら仕事は続けられないのではないかしら」と心配される方がほとんどです。放射線治療は辛くて、入院するか自宅での安静が必要ではないのかと思っている方も多いと思います。病状や治療法によっては、しばらくの入院や安静が必要な場合もあります。一方、手術等の短期間の入院後は、外来で治療可能な病状の方もたくさんいらっしゃいます。乳がんの多くの場合や前立腺がんなどは、外来での治療が主体です。乳がんの手術を受けられたあと、外来で3~5週間程度の術後の放射線治療を受ける場合や、前立腺がんの放射線治療などです。周りの人たちは、患者さんのことを思って休職を勧められるのではないかと思います。しかし、乳がんや前立腺がんの放射線治療は、全身へのダメージが小さいので、お仕事をそのまま続けることが可能な場合が多いと思います。
仕事を終えてから、あるいは少し早退して治療に来られている患者さんたちのご希望に添えるように、佐藤病院では夕方の遅い時間帯にも放射線治療を行っています。先日も、長く仕事が休めないのでなるべく短期間の入院で治療を済ませたいと、相談に見えられた患者さんがいらっしゃいました。放射線治療科外来に貼ってあるパンフレットをご覧になって、「この時間帯なら仕事帰りに受けられる」と安心され、通院で治療を受けていただけました。
わざわざ他院から夕方の放射線治療を受けるためにおいでになる患者さんもたくさんいらっしゃいます。病状や治療法によっては、仕事を休まずに続けることが可能な場合も多いので、医師と相談してみるのがよいと思います。また、佐藤病院では「がん相談支援センター」に仕事とがん治療の両立に詳しい専門家がいますので、そちらで相談していただくのもお勧めです。
笹井 啓資(元 放射線治療センター長)