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vol.4
放射線治療はがんの標準治療法です

放射線治療はがんの標準治療法です

放射線治療はがんを完全に治す治療から、がんによる症状を取る治療まで幅広く応用できます。放射線が当たった部分の病気への効果は高く、また全身への悪影響も少ないので色々な場面で重要な役割を持っています。

がんを完全に治す治療は、比較的たくさんの量の放射線を照射します。1日1回 週5回 30-35回くらいが普通でしたが、最近は病気に放射線を集中できる技術が高まったので、1回の放射線の量を増やして、その代わり回数を少なくする治療を行うことも多くなってきました。対象は種々のがんですが、佐藤病院では前立腺がん、乳がん術後照射、肺がん、食道がんが多いようです。前立腺がんは病気の進行がゆっくりなので、7年から10年以上治療後の様子をみないと治ったかどうかがわかりません。このため佐藤病院の成績は出せませんが、私の前任地では7年でみたPSA(前立腺がんのとても敏感な指標)が増加してこない確率が、低リスク群100%、中リスク群92.0%、高リスク93.2%、前立腺全摘後の再発への治療76.7%ときわめて良好でした。乳がん術後照射では乳房内非再発率95%とこちらも良好でした。佐藤病院では私の前任地と同等の治療が可能です。表はアメリカのNCCNが公表している前立腺がんの標準治療の選択基準です。ほとんどの場合、放射線治療が第一選択の治療法となっています。

また、最近ではオリゴ転移(転移が小数個)という考えが出てきました。以前は転移があれば、全身に病気が回ってしまっているのでがんは治らないということになっていました。しかし、数個までの転移の場合、転移をしっかり治療すると完治する可能性があることが分かってきました。佐藤病院では、最新の放射線治療装置で脳、肺、骨などのオリゴ転移をピンポイントに治療しています。

骨、脳、骨盤などにたくさん病気がある場合はピンポイント治療が困難です。このような場合でも、1回から15回程度の治療で、痛みなどを取ることができます。骨転移の疼痛は60から70%で軽くなり、25から30%では完全になくなると報告されています。

骨の場合、朝受診で午後に放射線を照射して、お帰りいただくような治療も行えます。

このように放射線治療のがんのあらゆる場面で応用できる、がんの標準治療のひとつです。アメリカではがん患者さんの半分以上が放射線治療を受けると言われていますが、日本では放射線治療が得意でない胃がんなどが多いこともあって、1/4程度の患者さんにしか使われていません。しかし、今後は放射線治療の恩恵に恵まれる患者さんが増えるのではないかと思っています。佐藤病院は新鋭の装置ノバリスTXを使って患者さんとじっくり向き合える点が強みです。

笹井 啓資(元 放射線治療センター長)

 

前立腺がんのNCCNガイドラインによる推奨治療法

リスク 余命 推奨治療法
超低リスク

20年以上 厳重観察
放射線治療(外照射または組織内治療単独)
手術
10-20年 厳重観察
10年未満 観察
低リスク 10年以上 厳重観察
放射線治療(外照射または組織内治療単独)
手術
10年未満 観察
予後良好な中リスク 10年以上 厳重観察
放射線治療(外照射または組織内治療単独)
手術骨盤リンパ節郭清
10年未満 放射線治療(外照射または組織内治療単独)
観察
予後不良な中リスク 10年以上 手術骨盤リンパ節郭清
外照射ホルモン療法
外照射+組織内照射ホルモン療法
10年未満 外照射ホルモン療法
外照射+組織内照射ホルモン療法
観察
高、超高リスク 5年以上(または有症状) 外照射+ホルモン療法
外照射+組織内照射+ホルモン療法
手術+骨盤リンパ節郭清
5年未満かつ無症状 観察
ホルモン療法
外照射

「笹井啓資 著 はじめての放射線治療 その疑問に答えます」 より