vol.7
骨への転移の放射線治療
1回での治療もできます!
がんの骨への転移の放射線治療 1回での治療もできます!
がんが骨に転移して、そこで新たに大きくなることがしばしばあります。強い痛みが出たり、骨が折れて動けなくなったりします。背骨(脊椎)に転移が起こると、背骨の中を通る脊髄という太い神経を圧迫します。ある日、突然下半身の麻痺が起こって、歩けなくなってしまいます。このような場合には、一刻の猶予もなく治療開始が必要です。この場合、可能なら手術をして圧迫をとってやることが大事です。手術ができない場合には、放射線治療をすぐに開始しなくてはなりません。時間が経つと麻痺が回復しなくなります。何日も家で寝てから受診されると、回復する可能性がどんどん下がってしまいます。
骨転移の治療方法としては
- 元々のがんと同じ抗がん剤などによる全身治療
- 手術
- 放射線治療
- 骨を強くする薬の点滴
- 痛み止め
があげられます。普通は、これらを組み合わせた治療を行います。
骨転移の治療の主体は放射線治療です。病状により1回から20回くらいの治療を行います。痛みは70%くらいの人で軽くなり、30%くらいの人では無くなると言われています。放射線治療は痛みが取れるばかりで無く、病気の進行を止めることができます。うまくいくと、壊れた骨の部分にカルシウムがついて再石灰化することも見られます(写真)。再石灰化しても骨の強度は戻らないという意見もあることはありますが、壊れたままよりは安心だと思います。
放射線治療の副作用は照射する部位にもよりますが、放射線の量がもともと少ないのであまり心配はありません。
以前は5回以上に分けて放射線治療をしていました。佐藤病院は、最近、病状によって8グレイ1回照射も行っています。痛みへの効果は3グレイ10回も8グレイ1回も差がないことがわかってきたのです。治療そのものは部屋に入っていただいてから15分くらい、機械が動くのは1-2分くらいです。1回照射の場合、事前にご相談いただければ、当日初診で夕方に照射してお帰りいただくこともできます。それで治療は終わりです。骨転移の痛みがある場合はぜひご相談ください。
笹井 啓資(元 放射線治療センター長)