vol.5
脳転移の治療:ガンマナイフに劣らないノバリスTX
脳転移の治療:ガンマナイフに劣らないノバリスTXが使用できます
放射線治療はがんを完全に治す治療から症状を軽減する治療まで幅広く使用できます。この中で、定位照射と呼ばれる技術があります。簡単に言うと、小さな病変に色々な方向から少しずつ放射線を当てて、病気の部分にとてもたくさんの放射線を照射する技術です。現状は体のどの部位でも行っていますが、当初は脳の病気の治療から始まりました。
最初に普及して、最も知られているのがガンマナイフという装置です。この装置の導入は脳転移の治療に革命的な変化をもたらしました。以前は、脳転移があると、治療してもある程度の効果はあるものの治すことはできず最悪の結果になってしまいました。ところが、ガンマナイフで治療すると頭の中の転移が消えて、長期にお元気に過ごしていただける患者さんがたくさん出てきました。最初は脳腫瘍を1-2個までしか治療できませんでしたが、10くらいまでなら普通に治療でき、成績もよいことが証明されました。最近、ガンマナイフに勝るとも劣らない装置が開発されてきました。代表的なものが当院に導入されているノバリスTXという装置です。
ガンマナイフは正確に放射線を照射するため麻酔をかけて、頭の骨にネジで固定具を装着しなければなりません。ノバリスTXは放射線治療前にCT、X線撮影で脳腫瘍の位置を正確に確認できるので、固定具を頭の骨にネジで取り付ける必要がありません。そして、ガンマナイフと同様に腫瘍に対して放射線を正確に集中的に照射(定位照射)して、頭の転移を消し去ることができます。外来で治療可能で、腫瘍の位置によって3回から5回で終了します。私自身は前任大学で脳転移の治療にとてもよい結果を達成していましたが、佐藤病院では前任地の装置より定位照射に向いているノバリスTXを駆使できるのが強みです。
このように脳転移の治療が大きく変わりました。もちろん、病状によっては定位照射ができなかったり、しないほうが良い場合もあります。そのような場合には、頭全体に放射線を照射する治療(全脳照射)やお薬の治療を行います。