Vol.1
はじめての放射線治療
はじめまして
この4月に美杉会佐藤病院高精度放射線治療センターに着任しました笹井啓資(ささいけいすけ)と申します。3月末日をもって長年放射線治療学講座主任教授として勤務しました東京の順天堂大学院医学研究科を定年退職しました。2000年4月に京都大学から順天堂大学へ赴任してずいぶん経ちましたが、久しぶりで関西の地を踏むことができました。
順天堂大学は放射線治療装置3台、年間放射線治療患者数900人以上、1日の治療患者さん90人前後ととても忙しい病院でした。佐藤病院の放射線治療装置は1台ですが、その性能は順天堂大学の装置に勝るとも劣りません。順天堂大学と全く同等の最先端の放射線治療を行うことができます。患者さんの数は1日 最大20人までですので一人ひとりの患者さんにとゆっくり向かい合った治療ができます。これから、どんな患者さんにお目にかかれるか楽しみにしています。
2021年末に「はじめての放射線治療 その疑問に答えます」という本を出版しました。多くの患者さんが不確かで不十分な情報のため、放射線治療に対して誤解や不必要な心配をされています。また、放射線治療の恩恵を受けられずにいらっしゃいます。がんの治療を受ける患者さん、放射線治療を受けようとされている患者さんやご家族に、がんの標準治療としての放射線治療について理解していただき、体にあった治療法を決めたり、不必要な心配をしたりしないでよいように、放射線治療について解説をいたしました。放射線治療について詳しく知りたい方は、ご購入ください。
このコラムでも、がんの標準治療としての放射線治療についてご理解いただき、ご自身、ご家族の治療にお役立ていただけるように解説していきたいと思います。
関西に帰ってくるにあたって、33年ぶりで自家用車を購入しました。1991年に米国スタンフォード大学に留学しました。その時、それまで乗っていた1984年型サニー1500ccを手放してから久しぶりでした。30年以上のブランクがあるので自動で駐車できる機能のある車を探しまして、やはり1500ccのハイブリッド車を購入しました。どちらの車もエンジンは同じ排気量、タイヤも4つ、丸いハンドルもついています。しかし、性能はまるで違っていて、一発で車庫入りはしてくれるは、高速では自動運転してくれるはでびっくりでした。また、燃費もサニーの倍ぐらいで、こちらもまたびっくりでした。
実は、放射線治療もコンピュータ技術、機械技術の進歩により革命的進歩を遂げました。本院の最先端の装置では病気の位置を正確に把握して、その部分に集中した放射線治療が可能です。周囲の大事な臓器の線量を抑えることが可能ですので、副作用少なく病気を治したり、症状を取ることができます。以前の治療とは全く別物の治療と言ってもよいのではないかと思います。
笹井 啓資(元 放射線治療センター長)